AIブラウザは、要約や質問への回答、さらには操作の代行までを行うために、閲覧しているページを読み取ります。そのため、ページの内容やプロンプトは通常、ベンダーのクラウドに送信されます。2026年10月時点の主な選択肢は、PerplexityのComet、ChromeのGemini、EdgeのCopilot、Opera Neonです。一方、OpenAIはChatGPT Atlasブラウザを2026年8月に終了しました。従来のプライバシーブラウザのように、デフォルトでプライベートなものはありませんが、収集する内容、保持期間、ユーザーが持つコントロールの範囲には違いがあります。

AIブラウザ早見表(2026年10月)
| ブラウザ | AI機能 | データの扱い | 価格 | 対応プラットフォーム |
|---|---|---|---|---|
| Comet (Perplexity) | アシスタントパネル、ページ要約、エージェントタスク、メール・カレンダー支援 | アシスタントはリクエストに必要なコンテキストのみを送信し、そのコンテキストは最大30日間保存される | 無料、出版社のプレミアムコンテンツを利用できるComet Plusは月額5ドル | Windows、macOS、Android、iOS |
| Gemini搭載Chrome | 開いているタブをまたいだ要約、米国のGoogle AI ProおよびUltra契約者向けにauto browseをプレビュー提供 | チャットはデフォルトでGemini Appsアクティビティに18か月間保存され、一部は人間がレビューする | 無料、エージェント機能には有料のGoogle AIプランが必要 | Windows、macOS、ChromeOS、Android、iOS |
| Copilot搭載Edge | タブをまたいで動作し、閲覧をJourneysにグループ化、メモリ機能は任意 | コンテキスト機能とメモリはオフにできる | 利用制限付きで無料、Microsoft 365ならさらに利用可能 | Windows、macOS、モバイル |
| Opera Neon | エージェントタスク、MCPまたはCLI経由でエージェントに接続 | パスワード、Cookie、カード情報は端末内に保持され、データは学習や広告に使われない | 月額19.90ドル | Windows、macOS |
| Leo搭載Brave | チャット、要約、タブの整理 | アカウント不要、チャットは保持も学習利用もされず、IPアドレスも収集されない | 無料、上限の拡大にはLeo Premium | Windows、macOS、Linux、Android、iOS |
| ChatGPT Atlas | 提供終了 | 2026年8月9日に終了し、セキュリティアップデートは提供されない | なし | macOSのみだった |
ChromeとEdgeを築いたデータ経済
StatCounterによると、2026年9月のChromeの世界シェアは66.4%で、デスクトップではChromeが65.1%、Edgeが14.6%でした。どちらのブラウザも診断データや利用データを収集し、同期をアカウントに紐づけています。ChromeはGoogleのアカウント(広告事業がAlphabetの収益の中核です)、EdgeはMicrosoftのアカウント(Edge、Bing、CopilotをWindowsやMicrosoft 365と結びつけています)です。プライバシー設定は用意されていますが、アカウントデータを前提としたエコシステムの中で機能するものであり、AI機能によってデータの流れがさらに1つ増えることになります。
Cometはデータをどう扱うか
Cometは、Perplexityが2025年7月にリリースしたChromiumベースのブラウザで、2025年10月に無料化され、その後AndroidとiOSにも対応しました。AIはお使いの端末ではなく、Perplexityのサーバー上で動作します。Perplexityのヘルプセンターによると、次のとおりです。
- デフォルトでは、Comet Assistantは閲覧履歴、開いているタブの全一覧、Cookie、パスワード、自動入力データ、ローカルファイル、ウェブサイトに入力した内容にアクセスせず、これらをアップロードすることもありません。
- データがPerplexityに送られるのは、リクエストに必要な場合のみです。たとえば現在のタブの要約や、@tabを使った別のタブについての質問が該当し、送信されるのは必要最小限のコンテキストだけです。
- そのコンテキストはライブラリやクエリ履歴のために最大30日間保存され、「一時セッション」として表示されたあと、自動的に削除されます。
- エージェントは初回実行時に許可を求めます。また、「設定」、「プライバシーとセキュリティ」、「Comet Assistant」から、アシスタントを完全に無効にすることも、特定のサイトでブロックすることもできます。
Perplexityのプライバシー通知には、2つの注意点があります。CometをPerplexityアカウントと同期すると、設定によっては閲覧履歴が記録される場合があること、そしてシークレットモードでもPerplexityやウェブサイトによるトラッキングは防げないことです。Cometはデフォルトでは ChromeやEdgeよりも控えめですが、ローカル専用のAIブラウザではありません。
AIモデルがプライバシーの前提を変える
要約、ページについてのチャット、エージェントタスクはいずれも、AIが画面上の内容を読み取る必要があります。クラウドモデルの場合、その内容は端末の外に出ます。さらにエージェントにはセキュリティ上のリスクもあります。ウェブページにアシスタントを乗っ取ろうとする指示が隠されている場合があり、これはプロンプトインジェクションと呼ばれます。2025年にはセキュリティ企業のLayerXが、Cometに対するこの種の攻撃を報告しました(Perplexityは修正済みとしています)。また、ChatGPT Atlasでは関連するメモリインジェクションの問題を報告しましたが、OpenAIは再現できなかったとしています。
ChromeとEdge:アカウントに紐づくクラウドAI
ChromeのGeminiは、アイコンまたはショートカットをクリックしたときにのみ起動し、開いているタブの内容を利用できます。Geminiの「アクティビティを保存」設定がオンの場合、チャットはデフォルトで18か月間保存され、一部は人間のレビュー担当者が閲覧します。レビューされたチャットは、アクティビティを削除しても最長3年間保持されることがあります。「アクティビティを保存」がオフの場合や一時チャットの場合、Googleはチャットを72時間保持し、フィードバックを送信しない限りモデルの学習には使用しません。EdgeのCopilotでは、コンテキストの手がかりやメモリなどの機能は任意で、設定から履歴を消去したり権限を調整したりできます。
Comet:より厳格なデフォルト設定のクラウドAI
Cometもクラウドモデルに依存していますが、アシスタントは最初に持つアクセス権が少なく、リクエストのコンテキストは固定の30日間だけ保持されます。ただし、そのエージェント機能にはすでにセキュリティ修正が必要になったことがあります。
トラッキング、フィンガープリント、データ共有
AIはブラウザのプライバシーの一部にすぎません。フィンガープリントとは、Cookieを使わなくてもユーザーを識別できる、端末やブラウザの情報の組み合わせのことで、AIブラウザでも他のブラウザと同様に機能します。
ChromeとEdge:IDに紐づくテレメトリ
どちらも同期データをアカウントに紐づけており、デフォルトではフィンガープリントを隠しません。
Comet:中身はChromium
Cometには広告ブロッカーが内蔵され、多くのデータをローカルに保存しますが、フィンガープリント保護はうたっておらず、Perplexityのプライバシー通知では、自社のマーケティング効果を測定するために一部のデータを広告パートナーと共有することが認められています。フィンガープリントが気になる場合、Braveはデフォルトでフィンガープリントをランダム化しており、アンチディテクトブラウザでは各プロファイルに一貫した固有のフィンガープリントを割り当てられます。
検索データとAIアシスタント層
Chrome(Google検索)
検索履歴は、一時停止または削除しない限り、Googleアカウントに紐づきます。
Edge(Bing + Copilot)
サインインしている場合、検索とCopilotの会話はMicrosoftアカウントに紐づきます。
Cometブラウザ
Cometはデフォルトの検索エンジンとしてPerplexityを使用しますが、変更できます。クエリとアシスタントへのリクエストはPerplexityのライブラリに保存され、ご自身で削除できます。
ChatGPT Atlasはどうなったのか
OpenAIは2025年10月にmacOS向けのChatGPT Atlasを公開し、2026年3月にこのブラウザを1つのChatGPTデスクトップアプリに統合すると発表したうえで、2026年8月9日にAtlasを終了しました。セキュリティアップデートはもう提供されないため、Macにまだ残っている場合は、ブックマークをエクスポートして削除してください。Arcも終了します。現在Atlassian傘下にあるThe Browser Companyは、Diaブラウザに注力するため、2026年12月22日にArcの提供を終了します。
どのユーザーにどのAIブラウザが向いているか
- GoogleやMicrosoftのサービスを深く使っている場合:Gemini搭載ChromeまたはCopilot搭載Edge。メモリとアクティビティの設定を見直してください。
- より厳格なデフォルト設定でAIリサーチをしたい場合:Comet。機密性の高いサイトではアシスタントをブロックしてください。
- データが学習や広告に使われない形でエージェント型ブラウジングをしたい場合:Opera Neon(価格が合うなら)。
- プライバシーを第一に、AIは二の次にしたい場合:Leo搭載Brave、またはAIをオフにしたプライバシーブラウザ。
AIブラウザをよりプライベートに使う方法
- AIブラウザは、銀行、メール、仕事用アカウントとは別のプロファイルで使いましょう。
- 不要であれば、メモリとアクティビティの保存をオフにし、機密性の高い質問には一時チャットを使いましょう。
- 機密性の高いサイトではアシスタントをブロックしましょう。Cometではサイトごとに設定できます。
- エージェントの操作は「常に許可」にせず、1つずつ承認しましょう。
- ブラウザを最新の状態に保ち、Atlasのような提供終了したブラウザは削除しましょう。
複数のアカウントでAIエージェントを動かす場合は、分離がいっそう重要になります。GologinのBrowser MCPは、AIエージェントをGologinのプロファイルに接続します。各プロファイルは固有のフィンガープリントとCookieを持つため、エージェントが普段使いのブラウザのログイン情報に触れることはありません。Gologinには3プロファイルまで使える無料プランがあり、有料プランは月額9ドルからです。開示:Gologinはcross-browser.orgの商業パートナーです。パートナーの一覧は会社概要ページをご覧ください。
まとめ
AIブラウザはいずれも、AI機能を使うとページの内容をクラウドに送信します。Comet、Opera Neon、Brave Leoは、保持する内容についてChromeやEdgeよりも厳格な制限を公表しており、ChromeとEdgeは自社エコシステムとの最も深い統合を提供しています。使い始めたらすぐにAIとメモリの設定を確認し、重要なアカウントにはエージェントを近づけないようにしましょう。プライバシーを第一に考えたブラウザについては、プライバシーに強いおすすめブラウザの一覧をご覧ください。
よくある質問
Cometは閲覧履歴をPerplexityに送信しますか?
デフォルトでは送信しません。Perplexityによると、Comet Assistantは履歴、Cookie、パスワードをアップロードせず、リクエストに必要なコンテキストだけを送信し、それは最大30日間保存されます。CometをPerplexityアカウントと同期すると、設定によっては閲覧履歴が記録されることがあります。
ChatGPT Atlasはまだ利用できますか?
いいえ。OpenAIは2026年8月9日にChatGPT Atlasを終了しており、セキュリティアップデートも提供されていません。OpenAIは現在、ChatGPTデスクトップアプリへの移行を案内しています。
最もプライベートなAIブラウザはどれですか?
ここで取り上げた中では、Brave Leoの収集が最も少なく、アカウント不要、チャットの保持なし、IPアドレスの収集なしです。Opera NeonとCometはChromeやEdgeよりも厳格なデフォルト設定を公表していますが、いずれもAIリクエストはクラウドで処理されます。
